家に着いて、着替えてご飯の準備をする。

早く先生帰って来ないかな…。


♪♪♪♪♪〜…

携帯の電話着信音が鳴り響く。

画面を見ると[高木先生]の文字。ドキッと胸が跳ねる。


そういえば、連絡取れるように電話帳登録してたっけ…。


「…もしもし。」

先生:「吉崎?あのな、今日遅くなるんだ…。先生達とで飲み会があって、どうしても断れなくてな…。」

今凄く会いたかった人の声と「遅くなる」の言葉。

「はい!私は大丈夫ですよ。」

強がっちゃうんだ私は…。
本当は、すぐに帰って来てほしい、何て言えないよ。

先生:「悪いな…。吉崎?もうご飯作ってたか?」

ふと作りかけの肉じゃがのお鍋の火を止めた。

「まだ作ってないですよ!!心配しないでください。」

先生:「…できるだけ早く帰るから、……吉崎………何かあったのか?」


何で先生は、何も言ってないのに気付くの…?

「何もないです!…早く帰って来て下さいね…。」


カチッと、電話を切るボタンを押す。



寂しいといつも作っちゃう、お母さんの肉じゃがを…。

そっと蓋をしてリビングのソファーに座り、先生が開けるドアの音を静かに待っていた。