何で先生は、私の考えてること分かるんだろう…。
「…。」
それが、苦手だったんだけどな。
自分の隠してる嫌な所を、見つけられるから…。
本当は、自信がないだけなんだけど…。ほんと、小心者。
だって、お父さんも偉い人なら娘も偉くなくちゃ…。
お姉ちゃんは、ちゃんとそれに答えて、今はあの名門大学行って…、医学の勉強してるんだもん。
はぁ、私って…何もできない。
カチャ、とスーツ姿の先生が部屋から出てくる。
あ、何か…いつもの見慣れた先生になった。
ビシッと着こなしたスーツに、私も、しっかりしなきゃと顔を引き締める。
先生:「ははは!何だ吉崎?(笑)多分、帰りは…、夕方くらいだから、お昼は適当に食べて。
じゃあ、行って来る。」
「はい分かりました。………い…いってらっしゃい。」
そうして、先生は廊下に出て玄関のドアの音と共に出て行ってしまった。
……しまった?、違う違う!出てった!ホッとするべきなのに、少し寂しくなるのは何で?
……それより、いってらっしゃいって、新婚さんみたい…;