もう、先生の唇が耳に触れそうな勢いで、激しく心臓がドキドキと音をたてる。


高木先生:「見付けた…。」


ドキン―…


反則だよ。……高木先生。



耳にかかる先生の息、近い。近すぎる。お願い、耳元で囁かないで…―。



フッと耳に柔らかい感触があたり、ピクンと体を跳ね上げる。


「ひやぁぁぁああああ!!」


思わず声を上げて高木先生の抱きしめる腕の下からスポンッと抜けると、耳を押さえてズサササッと先生から離れる。


そんな私を、お腹を抱えて笑う高木先生にムッとする。


やられた!からかわれた!


高木先生:「…ん!?吉崎、携帯持ってるじゃないか!!何で繋がらなかったんだ?…ん?音がする。」


さっき地面に落とした私の携帯電話を拾い上げてそう言って高木先生は私の携帯を耳に当てた。


「あ!!それ…!」


高木先生:「な!!成雪さん!!!」


お父さんの声に驚いて、高木先生はビシッと背筋を伸ばす。

高木先生:「はい、ええ?!な、何もしてませんよ!!はい!無事です!や!ホント、何もしてません!」


何言われてるんだろう?


慌てる先生が面白くてつい笑ってしまう。