お父さん:「お金もない私は、彼を施設に預けて、借金抱えて会社を建てたんだ。施設へ足を運んだ時には、彼のような子供が沢山いてね…、助けたいって思ったんだ。」
「…。」
少しでも、時間が狂えば先生は…いなかった。先生と出会うこともなかったんだ。
お父さんの話しを、最後まで聞いて背中がゾクッとする。
先生に会いたい。
今すぐ顔が見たい。
ポタッと、涙が道に落ちた時だった。
高木先生:「吉崎っ!!!」
その声にハッとして顔を上げる前に、大きな先生の腕が私の後ろから体を包み込むように捕まえられた。
しゃがんでいた私の足が地面にペタンとつき、高木先生は膝を地面につけながらギュッと腕に力を入れた。
「わっ!!たかっ…」
驚いて声を上げる私を遮って、
高木先生:「ったく!!どこ行ってんだよ!?全然帰って来ねぇし!電話掛けても繋がらねぇし!こんな所で!!心配したんだからな!」
息を荒くしながら、高木先生はまた私をギュッと抱きしめる。
はぁっと息をついた、先生の息が耳元にかかる。
思わずドキッとして、携帯電話を地面に落としてしまう。