夜空に輝きだす小さな星達、やっぱり夏に見たあの場所で見る星が1番綺麗。
こんな、家やマンションに囲まれて、星空がほんの少ししか見えないなんて、なんだか寂しい。
道の隅に、しゃがみ込んだ私は、そんな寂しい星空をみながら、今日のことをお父さんに話した。
「私、夏休みに先生から聞いた過去の話、想像できなかったんだ。そんなことが、現実にあるなんて思うだけで怖くて。」
お父さん:「そうだね。でも現実は、奈緒が考えてるほど平和なんかじゃない。」
「…。今日、改めて分かった。…先生は何で笑えるのかな。私、どんな顔して会えばいいかわからなくて。」
お父さん:「ははは!(笑)」
悩む私を、お父さんの大きな笑い声が吹き飛ばす。
「ひっどい!私、凄く悩んでるのに!」
お父さん:「笑うと、そんな悩み事が小さく思えるだろう?」
「…私の悩みは小さいよ。でも先生は…。」
お父さん:「高木君は、高木君だろう?」
「…。」
お父さん:「だから、奈緒も奈緒のままでいなさい。過去があって今がある。」
「うん」と頷くと、お父さんは少し黙った後、掠れた低い声で話し始めた。