見てはいけないものを見てしまった。
軽い気持ちで探しただけだった。
本当にたまたま、南や花が誕生日って言っていたから手に取っただけ。
バカ、私…何やってんだろう。
暗くなった帰り道を歩く。
花と南とは駅で別れて、私は歩いて帰ることにした。
寒い。やっぱり1月は寒い。
雪は降ってないけど。
本当に…寒い。
先生の誕生日も寒かった。
まさか、そんな日の冷たい海に…
たった4才で。
恐ろし過ぎて、想像できなかった。
どうして、あんなに笑ってられるの?
高木先生…。
ダメだ…。マンションに帰れない。
どうしても信じられなくて。
だけど、目で確かめてしまった。
どんな顔して先生に会えばいいの?
寒い夜。
車通りの少ない道にしゃがみ込む。
もう、マンションはすぐそこに見えてる。
高木先生、私どうしたらいいの?
言った方がいい?
言えないよ。
安西先生はどうやって、高木先生のそばにいたの?
「…もしもし。」
気付けば、お父さんに電話していた。