俺の体をガバッと吉崎が抱きしめる。



急なことに驚く。


ギュウッと、小さな体に抱きしめられ、



おかげで顔が見えない。



隠すためなのか、ある意味賢いかもしれない。




「おーい吉崎〜。」




吉崎:「…。」


ギュッと抱きしめたまま、黙り込む吉崎。



調子に乗りすぎたかな…。



俺の体にひっついた吉崎の頭をポンポンと叩く。



「悪い…。」


素直に謝る俺に



吉崎:「全くです!!」



怒った声の吉崎。




それでも、可愛いと思ってしまうのは、俺もまた年を取ったな…。



けれどやっぱ、…吉崎には笑ってほしい。




「…プレゼント、さんきゅ!」





吉崎:「…。」





「大事にするよ!」



そう言うと俺の服に埋めた吉崎の顔がピクッと動いた気がした。




吉崎は顔を上げて、俺を見ると隠しきれなかったのか、微笑み出す。




「クッキー、…食っていいか?」




吉崎:「…はい!」




もう何もしないと思ったのか吉崎はそっと離れて、大きい方の袋から綺麗にラッピングされたいくつものクッキーを取り出す。