スッと南が制服のポケットから小さく折り畳まれた一枚の紙を広げて、真梨奈に見せる。




真梨奈:「…これ…。」



「?」  花:「何ぃそれ?」


私と花が席を立ち、南の見せた紙を見る。



紙の右端に赤ペンで[84]とかかれた答案用紙。



「これ、夏休み前の期末テスト?」


高木先生:「…?」



南:「うん!私さ、84点取れて後から思うと嬉しいんだけど!でも、…90点取れなくて、凄くショックだった。でも、頑張った分だけ上がった。」


南がチラッと高木先生の方を見てまた視線を紙に落とす。


南:「これ、私のお守り。やればできんだって証。キャンプ行きたかったけど行けないんだって、この点数見て諦めた。一瞬で、消えたよ!皆でキャンプの夢が!」


真梨奈:「…。」


南:「でも…、高木先生が、最後まで見ろ、って言うから…。」


南の声が小さく震えはじめた。めったに涙を見せない南が、ポタッと答案用紙に落として、話し続けた。


南:「このテストの最後見たら、自分が苦手な勉強、頑張ってきたあの2週間を信じて見ようと思った。」