その夜、私は一人マンションに帰り、玄関に座って高木先生を待っていた。



今日は帰って来ないかもしれない。もう、帰って来ないかもしれない。



なんて、不安を抱きながら…



玄関の開けられる音を、目をつぶり必死に待った。














カチャ―…






その音に、パッと目を開け見上げるといつもの高木先生の姿。





高木先生:「…吉崎!どうした?そんな所に座って…。」




いつもどうりに話す高木先生。



何で?どうして?




まるで、本当に安西先生が今でも生きているよう…。




そんな淡い期待が涙に変わる。



バッと立ち上がり、高木先生に向かって聞く。


「もう、…安西先生はいないんでしょう?」



涙を流す私に、驚きながら高木先生は答える。




高木先生:「…ああ。悪いな、今日、授業の途中に抜け出して。教室の奴ら、ビックリしてただろう!?月曜、謝らないとな!」




パタンと閉じられた玄関のドアの音。


そして高木先生はいつもにように、にっと笑ってそう言った。