ダンッと賢志の左手が、私の後ろの壁に当たる。


私は4人の中で1番背が高い、なのに私よりの高い背の賢志を見上げる。


賢志:「…だから?俺は、聞いてんだ。」



「…私のことなんて…ほっとけばいいじゃん。」


賢志:「ほっとけないから聞いてるんだ!」


「!?意味、分かんない。…それに…対した悩みじゃないし。」



賢志:「意味、分からないなら…」


クンッと、賢志の右手が私の顎を掴み上に上げる。


へ?ちょ、


「ちょっと!」


唇が触れるか触れないか、ギリギリ寸前で私は声を上げる。


賢志:「何?」


平然と答える賢志に、まさかドキドキさせられるなんて思ってなかった。


「な、何って、この状況…な、何よ?」


賢志:「分からない?」


「わわ分からない!んッ!?」


チュッと、私の唇にキスを落として賢志はにっと笑う。


賢志:「カンのいい真梨奈にはもう分かっただろう?じゃあ、カギ置いとくから、俺は教室に戻る。…何があったかいつでもいいから教えろよ。気になるし。」



へなへなと、足に力が抜けて座り込む私の前にカシャンと音を立てて落ちるカギとバタンと閉まるドアの音だけが響く。