初々しい新1年生の春。
廊下で迷っている生徒と出会った。
1年の教室を案内するとソイツはキッと俺を睨んで、プイッと斜め下に目線を落とす。
それが吉崎だった。
吉崎:『…ありがとうございます…。』
けど素直に礼を言う。
笑顔もなくただムスッとして。
最初から、嫌われていたのか俺は。
変に引っ掛かって離れない。
吉崎はまだ俺のことを嫌っているのかもしれない…
でも…笑ってくれるその笑顔を信じて、…大切にしている。
こんなに、大切に想う奴なんて、今までいただろうか?
触れることすら、緊張してしまう。傷付けてしまうのが怖い。
けど、触れたくて仕方がない。
今まで生きてきて、"怖い"と思ったのは、海に落とされた時以来だ。
その"怖い"とはまた別の意味になるが。