リビングにドカッと座り、ネクタイを緩める高木先生。



先生のいつものその仕草が、思わず見とれてしまう。


ハッと慌てて、キッチンに向かう。


「先生、アイスティーって飲みますか?」


コップを2つ取り出してソファーに座る高木先生に聞くと「おお、頼む」と返ってくる。



この前買ってきた、紅茶の粉を取り出してコップに入れていると先生が話し出す。


高木先生:「本当、今の林田みたいで…、安西先生がいなかったら俺は多分、大学合格所か高校卒業すらできなかったかな。」


フッと笑う高木先生、その姿はまるで昔の自分を鼻で笑うように。


カランカランと混ぜる音が静かに響く。



「へぇ。高木先生の高校生姿、ちょっと見て見たいかも(笑)」


私はそう言って、コップを2つ手にし、高木先生の前にコトッと置く。



高木先生:「見ない方がいい…。あの時の俺は、どうしようもないバカだった。」


高木先生の少し悲しみを帯びた目が、にっと笑う。




「…。…私は…そんな高木先生のバカだった時?があったこと見てみたい。…だってそれも先生だから。」




…。