お父さんに将来のこと、こんな風に話すの初めて。
いつもはっきりしない目標でただ、ひたすらに勉強してきた私だから。
ふっと、面接試験のことを思い出す。
すっごく緊張した。
でも、大学に着いて改めて行きたいって思った。
ここが高木先生の過ごした…4年間。
高木先生が、大学まで送ってくれて、駐車場で先生の懐かしそうな顔が目に焼き付いてて。
試験会場の教室に行くのにも、隣に高木先生がいるような感じがして凄く安心した。
鮮明にその時のことを頭に浮かべ、私は口を開く。
「…高校で出会った恩師に数学を教わって、私も数学を深く知りたいと思いました。その先生が、貴校の生徒だったと知り、私も同じように先生の学んだ数学を学びたいと感じたからです。」
本物の面接官を前にして、堂々と私の本当の思いを伝えた。
面接練習じゃ恥ずかしくて言えなかった本当の気持ちを、本番で言えた。
ううん。聞いてほしかった。だって、だから、どうしてもここの大学じゃないとダメ。
ここの大学に行きたかったの。
嬉しそうに頷くお父さんの声に私も、もう一度喜ぶ。