高木先生:「…ああ。…昔な。」
また、ポツリと呟くように答える先生。
何かを思い出しながら、話しているように。
「この場所とお父さんと高木先生って何か、あるんですか?」
高木先生:「…。…そうだな…。…成雪さんと出会った場所と…。」
ははッと、少し悲しそうに笑う先生。
そんな先生を初めて見た。
何だか何でも答えてくれる先生だけど深く聞けない部分を持ってる。
「星…綺麗ですね。」
高木先生:「…ああ。そうだな、ここから見る空が1番綺麗だ…。」
ザザーン、と相変わらず波の音が耳に響きながら、崖にあたっては引きを繰り返す波、その音の中で高木先生は話始めた。
高木先生:「…親に殺された場所かな…。」
「え…。」
信じられない先生の言葉に一瞬耳を疑う。
バッと起き上がり、すぐ隣に並ぶ高木先生を見ると、目が合った。
高木先生:「…帰るか?」
私は首を横に振った。そっと先生のTシャツの袖を掴む。
悲しそうな先生のその瞳に、どうしても私はそばにいたかった。
先生を独りに、させたくなかった。…どうしても…。