マンションに着き、車に鍵を閉めた時、不意に着信音が鳴り響く。

画面を見ると、[緒方成雪]の文字。



「…成雪さん…。」



電話に出ると、懐かしい声が耳に響く。



成雪さん:「高木君、元気かい?久しぶりだね。」



「ええ、元気です。本当に久しぶりですね。そちらの方はどうですか?」


成雪さん:「ああ、特に問題ないよ。少しバタバタしてて連絡が遅くなって悪いね。奈緒は元気かい?」


「あ、いえ!そうですね、元気だと思います。時々笑ってくれます。なかなか、俺が吉崎の代理で良かったのかどうか…。」


成雪さん:「…そういえば、吉崎って苗字言ってなかったが…、奈緒がそう言ったのか?」


あ!しまったつい…。成雪さんにまだ言えてなかった。まさか吉崎の担任だなんて思わないだろうな…。



「あ、実は俺…奈緒さんの通う学校の教師で、まさか吉ざ、あ、…奈緒さんが成雪さんの娘だって気付かなくて。今年から担任になってしまいました。」



成雪さん:「ははは!!それは面白いね!しかし、苗字だけでも言っておくべきだったかな?すまないね。ははは!」