高木先生:「…どうしたんだ?」
ほんの一瞬間があいて、高木先生は驚きつつも私に問う。
「あ、えっとその、今日の化学の授業で分からなかった所聞きに来たんです。」
高木先生の濃い青色のネクタイに目をやりながら応える。
私は、やっぱり高木先生の顔が見れない。
高木先生:「…そうか。それなら俺に‥…あ、いや。それより!吉崎、今日の日誌まだ見てないんだが?」
高木先生、何か言おうとしてたような、と少し疑問を持ちながら今日日直だったことを慌てて思い出す。
ああ、しかも日誌、引き出しに入れっぱなしだ!
「‥すいません、すぐ書きます!‥えっと、三浦先生、ありがとうございました。」
そう言って慌ててガタッと立ち上がると、
三浦先生:「吉崎…続きは、またここで。…あと、高木先生、2年の資料類の箱出しときましたんで。」
高木先生:「ああ、忘れてた。ありがとうございます!何枚か持っていきますね!」
そう言って高木先生はさっき三浦先生が出してきた箱から、紙を何枚か取り出す。
そんな高木先生を見ながら、ペコッと礼をして部屋のドアを開けて廊下に出る。