三浦先生:「ここで酸化させると…」
「…なるほど。」
頷きながらノートに三浦先生の説明の言葉を書き足して行く。
一通り教わった後、苦手な所もついでに聞いておく。
三浦先生:「…吉崎は優秀ですね。」
不意にそんなことを言う三浦先生に驚いて顔を上げると、いつも無表情な三浦先生の表情が少し柔らいでいた。
そして、三浦先生はまた口を開ける。
三浦先生:「化学は好きですか?」
「えっと、…嫌いなんですけど、好きになれたらなって思います。」
三浦先生:「…何でそう思う?」
何でって
「それは、たか…、!!」
思わず自分の口を手で抑える。
今私、変なこと言いかけた!
高木先生が好きなもののひとつだから…って言いかけた。
あぶないあぶない…。
って、私何考えてんだろ!?
カァッと熱くなる頬を隠して、言い直す。
違う!私はただ、高木先生が何で化学が好きなのかなって思って、だから気になっただけで…
必死に自分で自分に言い訳をする。
「か、化学を好きな人の…その好きの意味を知りたいからです。」
あんまり答えになってないんだけど…。