林田:「先生ゴメン。」


ボソッと謝る林田。…、林田は実は優しい奴だからな。人の傷みを知っている。


「…。」


林田:「前に、もう騒ぎ起こさねぇって約束したのにな。俺が騒ぎ起こさなきゃ滝沢にムカつくこと言われなくてすんだのにな。」


「俺は、そんなことよりお前が停学の間が寂しいな。何があったんだ?」


すると、悔しそうに林田は拳を作り、机にドン、とさっきより弱く叩いた。


林田の両親は離婚している、浮気癖のひどい母親に耐え切れずに、父親ひとり家を出て行った。母親はそれ以来更に色んな男を連れ、林田はほったらかしだったそうだ。


林田:「ただ、駅前でアイツといた男が俺に、殴りかかってきたんだ。俺は、ムシャクシャしてたから男の顔見たら余計腹立っててさ、」

「そこを警察が偶然目撃…か。」

林田:「もう、帰ってくんなって、俺がいるから邪魔なんだとさ、あいつの男に言われてムカついた。」

林田の言うアイツとは母親のことだろう。それを見ていた母親はそんな息子に何も思わないのか?
聞くべきか、迷いながらも

「母親は、どうしたんだ?」

と言うと、林田は机が壊れそうなほどダンッ!と叩いた。