この人に何を言っても無駄だと判断した俺は、ただ黙るしかなかった。

主任:「隣の会議室で林田俊平が待っていますので、ちゃんと言って下さい!貴方の生徒なんですから全て貴方の責任ですからね!」


そう言い放つと、主任は職員室を出て行った。

主任の考えや言動には少し腹を立てながら、ふう、と気持ちを落ち着かせて会議室に向かう。




入ると、窓の外を見つめる林田が椅子に座っていた。


「今度は、どーしたんだ?嫌なことでもあったのか?」


林田:「…。」

ゆっくりとこっちを向く林田に微笑んで

「俺も昔は、色々あったなぁ。」

そう言うと林田はゆっくりと口を開く。

林田:「先生、今度こそ怒ると思った…。」

「怒る必要があれば俺も怒るよ。でもまだお前の気持ち聞いてないからな!怒れないな。」


林田:「んでだよ?滝沢、怒ってたじゃん!まる聞こえだっつうの!…。」

そう言って机をダンッと叩く林田の拳が、何かを訴えるように聞こえた。