今夜は偵察だけにする予定であったが、天井が抜けたおかげでかおりの前に姿を現してしまった。


こうなったら、このままかおりを救出してしまおう!と、シチローは考えた。


「実はオイラ達、ある人に依頼されて君を救出に来たんだ。さあ!かおりちゃん、ボヤボヤしている時間は無い。早くここから逃げ出すんだ!」


そう言って、自分達が落ちてきた天井の穴の真下に、テーブルや椅子を並べ始めるシチローとそれを手伝うてぃーだ。


「えっ、今からですか?」


「そうだ!この通気ダクトを通れば外に抜けられる」


「でも……」


ところが、なぜかかおりは脱走に消極的な様子だった。


「どうしたのかおりちゃん?あなた、ここから出たくないの?」


躊躇するかおりの様子に気が付き、そう尋ねるてぃーだ。


「いえ……わたしだって、ここから出たいわ!
…でも……」


あまりに急な事に戸惑っているのか、煮え切らない態度のかおり。


「でもどうしたっていうんだ!こんなチャンスは二度とないぞ!
それとも、何か問題でもあるっていうのか!」


ここは、少し強引にでもかおりを連れて行きたいシチローは、語気を強めてかおりの決断を迫るのたが……


そんなシチローに向かって、かおりは少し言い辛そうに言葉を発した。


「あの……」