「あ、小春ちょっと」




「ん?なに?」





朝学校に行こうと玄関に向かう私の足を止めたのはお母さんの声。



私は台所にいるお母さんのとこへ行く。





「最近引っ越してきた4階の結城さん。小春知ってる?」




「あー。結城さんっていうの?越してきたのは知ってるけど誰かは知らないよ。なんで?」




最近うちの住宅の4階に引っ越してきた人がいた。あたしは2階だから誰かは知らないんだけど…。





「その結城さん家の子どもさんが高校生らしくて…。」




「ふーん。それがどうかしたの?」




「なんでもケンカとかすごいらしいのよ…。夜中に下の玄関でたむろってたり…。小春、気をつけてね?」




「それだけー?うち2階だし4階の人となんて会わないでしょ。」





私の家は2階。だから4階の人となんて顔を合わせるなんて滅多にない。それに、いくらケンカがすごくて不良っぽくても結局は同じ高校生だし怖くもないし…。





「そうだけどっ…」




「じゃぁ時間ないから行くねっ」




私は心配してるお母さんの言葉を遮り家を出た。




(ほんとお母さん心配性なんだから)