定かではない目撃証言によると、父は強盗に刺された後、そのまま強盗達に担がれていったらしい。
きっとどこかに捨てられたのを、龍上の人間が壁の向こうへ放り投げたに違いない、と言っていた。


これも現場に遺体が無かったので多分本当なのだろうと思う。


所在不明で街に転がっている遺体は、龍上の奴らが『掃除』の名目で壁の向こうへ捨ててしまうのだ。



そういう理由で、あたしは父の死に顔を見ていない。

見てはいないのだけれど、あたしは昔の歌に倣うことにした。


いつまでたっても来ない人は、死んだ人と同じこと。


先人は時に結構良いことを言ってくれるものだ。



「ねぇ、仕事が終わったら、おじさんの七回忌、やろうね。二人でおじさんの事話しながら飲み明かそうよ」

言って、可愛らしい笑顔がふわっと花のように広がる。

そんなシャオファの笑顔に、あたしは少し救われた気持ちになった。

生きていくためとはいえ、売春なんていうスレた仕事をしているのに、シャオファは純粋な気持ちを今も失っていない。

「そうだね。じゃ、終わったらウチに来て」

手を振ってシャオファと別れると、あたしは寂れた店のドアを開けて店内へと進んだ。