初めて彼を見たときに、あたしは彼の肌色を見て、なんて健康的なのだろうと思った。

生まれつき割と色白だったあたしは、太陽がカンカンと照っているときには無理して日焼けをするくらいだったのに。


こんなにも陽の光に愛されている人間がいるのかと、感動にも似た気持ちがこみ上げてきて、思わず彼に『太陽の子供みたいだ』なんて言ったのだが、これがきっかけで彼はあたしのことを『アンヘリーテ』と呼ぶようになった。


どこかの国の言葉で、『天使』という意味らしい。


聞けば、彼も少し前に『外』からやってきたらしく、この街に来るまではその肌の色が原因で随分とひどい目にあって来たのだという。

だから『太陽の子供』だなんて言われた事は一度もなかったと、声を上げで泣かれてしまったのだった。


その話を聞いた時、あたしはカオルちゃんが、知らない方がいい、なんて言った理由が少し分かった気がした。


『外』の世界も、違った意味でこの街とあまり変わりがないように思えた。