あれから…


3ヶ月くらい経ったある日。


やっとやっと傷が癒えてきて…


啓介と居酒屋に酒を飲みに来た。


美沙先輩に告白できなかった日の事を話したら、啓介に笑ってバカにされた。


「不倫女がお前を相手にする訳ないだろっ!告白しなくて正解だよ」


「…………だよな」


ハァ………


あの日…


海になんかに行かなければよかった。


行かなかったとしても…


結果は一緒だったけどな。


どうせ…


フラれてたはずだ。


「なぁ…月の力って信じる?」


「は?」


俺の問い掛けに、啓介が興味なさそうに焼鳥に手を伸ばした。


「あの日…どうしても今日告白をしなきゃって満月を見て思ったんだ」


血が騒いだ…気がした。


「もし満月じゃなかったらさ…美沙先輩も…あんな言葉は言わなかったんじゃねぇかな………」


“大っ嫌い”


「月が美沙先輩を狂わせたとか思ってんの?バカだな、お前」


啓介が、また笑った。


でも俺は…


月のせいにしたいんだ…−。


あの美沙先輩は…


本当の美沙先輩じゃなかった気がする。


もう…


今さらだけど。