刺した僕に対しての憎悪、復讐…。



もしかしたら痛みを堪えるだけで精一杯で何も考えることが出来ないのかも知れない。



右手で左脇腹を押さえながら仰向けになり、左手を天にかざし空を仰いだ。



そして左手で何かを掴むような仕草をする。



「やっぱりお星様は手に取ることは出来ないね」



女性が初めて声を出す。



その声は見た目の美しさとは違う、なんとも可愛らしく澄んだ声をしている。



イメージとは何となく違ったものの、その声の響きは僕に懐かしいという感情を与えた。



規則正しい波の音とは違いずっとこの声を聴いていたいという暖かな気持ちにさせられる。



僕がその声の源となるものをたった今壊したのに…。



そして消え入りそうな声で彼女は僕に呟いた。



「目が見えない私にいつも良くしてくれてありがとね」



「いっつも私が迷惑ばかりかけちゃったからヒロ君疲れちゃったんだよね?」