僕の考えを証明するかのように、僕とこの女性の左手の薬指にはお揃いのシルバーの指輪をしている。


物的証拠もあるんだ。


僕の考えはほぼ間違いないと思っていいだろう。


まさか結婚までしているとは思わなかったが…。


それで、え~と…


この女性の名はなんといっただろうか…。


結婚までしているみたいなのに馬鹿な話である。


頭の中を片っ端から捜索するように記憶の中を辿ってみる。


しかし…


……思い出せない。


何も。


この女性の名前だけではなくありとあらゆること、すべて…。


何もかも…。


なぜこんなところにいるんだ…?


そんなことより、ここはどこなんだ…?


いったい僕は誰なんだ…。


答えが欲しい。


どうしようもない思考ばかりが僕の頭を支配していく。