父さん、母さん、セレス…。



きっと僕の家族はもう………。



分かってはいる、分かってはいるのだけど…



でも自分の思考を頭の中で正しい形にしてしまうのが怖かったんだ。



僕自身が欠けてしまう気がして…。



………。



あぁ、そうだ。分かっている。



もうみんなこの世にはいないだろう。



魔女裁判なんてそんなものだ。



裁判にあって生き残る者がいるはずがない。



どうして人を癒やしてあげられる心の魔法を使う魔女でもない普通の人間を魔女として処刑して、何も罪もない僕の家族を魔女扱いして殺して、そのうえ僕の命までも奪おうとしている。



そしてこの悪魔みたいな心を持ったこいつのような人間を支援し守るこの歪んだ世の中…。



許さない…。



皆殺しにしなくちゃいけないくらい魔女や悪魔が怖いなら…



僕が期待通り殺してやろう。



僕はすぐさま壁にかかっている弓矢を手にした。



12歳の子供が持つには少しばかり大きすぎる長弓。



弓を実際触ったことがないものには分からないかもしれないが弓の殺傷能力というのは案外高い。



急所を狙えば人一人を殺すくらい造作もない。