ちょうどその日は今日みたいに天気が良くて綺麗に青空が出ていた。



この日は僕の12回目の誕生日。



前日までずっと雨がどしゃ降りで外になんて出れたもんじゃなかった。




「せめて自分の誕生日くらい綺麗な青空を見せてください」



そう口に出して神に祈りを捧げた。


そんな僕に母さんはこんなことを言ったんだ。




「お父さんとお母さんが魔法で明日のお空を青空にしてあげる」




「お空も泣いてばっかりじゃ悲しいだろうから」




「だからあなたもお空が元気になった時にいつでも笑顔でおはようって言ってあげられるようにいつも元気に笑っていなさい」



優しく頭を撫でながらそう言った。



それは幼い日の僕にとって、頭を撫でてもらうという行為が特別なモノになる瞬間だった。



優しい気持ちで目が覚めた朝。



昨日のどしゃ降りは嘘みたいの晴天。



空に向かって大きな声で




「おはようっ!!」



僕は本当に父と母が使った魔法だと信じて疑わなかったんだ。



その時の僕は年の割に若干精神年齢が低い気がするが、家の回りには自分と同じ年くらいの子供が一人もいなかったことが直接的な原因なのだろう。