『光希、お前は東に潜入してこい』




組長が言ったその一言で、なぜわたしが呼ばれたのかがわかった。




「今までは西やったが、東やぞ?何かあったとしても俺らの手では片付けられんのやぞ?」

「でも適任はわたししかいないでしょ?それは銀もわかってるよね」

「……せやかて」




わたし、赤羽光希という存在を知ってる人間は多くの組員が知っているわけではない。


それは傘下の組なら尚更だ。



「今日集められた人達だって、わたしを知ってる人しかいなかったし」



この赤羽家をわたしは小学生になる前に出た。

今日集められた人達はわたしが赤羽にいる頃からすでにいた人で、わたしの存在を隠す必要がない人だった。


だからこそ、これは組にとっても一大案件なんだ。