自分で自覚してはいるが、流行には疎い。

それは男社会で育ったこともあるし、妹尾がそれを分かった上で通わせてくれた学校が女子校だったけど、学校や放課後以外で女子とつるむことも年々なくなっていった。


残念ながら女子と遊ぶよりも、組員と組手をしてる方が多かった。



「まあ、いい」


ボソッと周りに聞こえないほどに独り言をつぶやく。

タクシーでも拾って与えられたマンションに向かおう。




ーーー踵を返し、その場を離れようとしたその時だった。



「ちょっと、こっちきて!」

「………っと」


突然腕を引かれ、足がもつれながらも引きずられる。


「ねぇ、ちょっ…」

「サクラっ!!急にどこ行くのよ!!」


わたしの声に覆いかぶさるような大きな声で名前を呼ぶ女。