劣等感。
宝さんが朔羅に対する気持ち。
わたしは男兄弟ではないし、兄が兄だからそう言うのを感じた事ない。
組のために忠誠を誓うわたしをむしろ止めにかかるほどでもある。
「ねぇ、セノ」
「はい」
「全てが終わったら、この前の返事を聞かせて」
「っ……」
ーーー忘れたわけじゃない。
あの日の宝さんの告白を。
忘れることなんて出来るわけない。
「じゃあ、俺はこの辺で」
「あ、ありがとううございました」
ドキドキするのは、宝さんも一緒。
それが幸せとか、そんなドキドキじゃなくて、いつも緊張してしまう感じ。
朔羅と一緒にいる時のソレとは違う。
情に溺れたわけじゃない。
まだわたしには理性がある。
ーーまだ、戻れる。