考え込むわたしに視線を感じる。
「朔羅?」
「いや、なんでもない」
その日、toxicに行くとママから呼び止められた。
「あのね、セノさん。本城組から宝さんを今日は早めに帰してほしいって…」
「あ…わかりました」
わたし的にはあれ以来、少し宝さんが怖いから、早めに帰ってくれるのはありがたい。
「やあ、セノ」
「こんばんは、宝さん」
「今日は早く帰らなきゃいけなくてね」
「ママから聞いてます」
「流石に話が来るのが早いな」
困ったように苦笑いをする。
ここに来すぎていると誰かに言われたのだろうか。
「最近、お忙しいのですか?」
当たり障りのない言葉で、本城の動向を探る。
答えてくれるだろうか。