「ーーわたし見つけちゃったよ。母さんの復讐相手」
母は昔、東の街にいた時に、身体に傷を作っている。
その事件の犯人を見つけたのだ。
「復讐なんて、そんなこと思ってないよ。この傷は目立つけど、お洋服着てたらわからないし、この傷があったから虎之助さんに会えて、銀くんと光希ちゃんにも出会えたんだから」
「だけど…」
「ね。復讐なんてやめてね」
母さんはいつもそういうけれど、人混みに出たくなくなったのはその事件があったからだ。
関係のない、ただの一般人だった母を傷つけた恨みは、母のことが大好きなわたしにとって復讐すべきこと。
「光希ちゃん」
「ん?」
「無理だと思ったら、いつでも帰ってきていいんだからね」
母の笑顔に、泣きそうになる。