黒のスキニーパンツに、胸はサラシを巻いてその上にロングTシャツ。

ミルクティー色の短髪ウィッグに帽子。

マスクをして、リュックを背負い。出来るだけ風貌をいつもとは違うようにする。



もし、万が一のため、わたしが西へと向かったことがバレないようにするためだ。




「よし」


動き回るなら人が混み出さない朝早くから。

toxicは当分の間お休みを頂くことはママの了承を得ている。
もちろん宝さんにも伝えている。

こんなに休んでいいのかと思ったけれど、ママがいいって言ったんだから、いいんだろう。



東京駅で新幹線に乗り、西へ向かう。



ほんの数ヶ月しか離れてなかったけれど、やっぱり西は東とは違う。

行き交う人も、話し声のイントネーションも。


やっぱり西が、わたしのマイホーム。