「あの後、紗菜が光りに包まれて消えたあと、しばらくはみんな言葉がでなかった!

私は次の日曜日で、原宿を卒業して踊るのは辞めたの

紗菜の言うとおりに、治療に専念するためにね!

そのせいか、発作はあの後一回も起きていないわ。」

「よかった! 信じてくれたのね。」


紗菜は興味津々の顔付きで裕也との事を聞いた。


「で・・お父さんとはどうだったのよ?」


紗耶はほんのり顔を赤らめた。


「あの後、裕也さんは首都高で走らなかったのよ。
すぐにサーキットで、プロのライダーとしてデビューしたわ

ずっと勝てなかったけど、あの日本GPで勝ったら結婚しようって言ってくれた」

「へええ、でその後は
お父さん!」

「俺に振るなよ!」


裕也は照れながら、そう答える。


「あの後、俺は紗耶とは会ったばかりだったけど、紗耶と話しているとなんか元気が出るんだ。
そして月日が立つうちに、失ってはいけない、たった一人の存在になっていった。
プロになって、レースを走っている時にも紗耶が側にいてくれると頑張れたんだ。

そしてあの日本GPの魔のデグナーカーブでやっぱり事故は起きた。

事故直前に紗菜の声が『お父さんスピードを緩めて!ここで追い抜いちゃダメ』って聞こえたんだよ。

その声のおかげで、俺は事故を回避できた、先を走っていたスチュワートが事故に巻き込まれ転倒したんだ。
でもスチュワートは軽傷で済んでよかったよ。
俺はそのまま逃げ切って優勝した!」

「お父さん凄い!」

紗菜は喜び、裕也に抱き着く。

「おいおい!・・・
紗菜ありがとうな。」


その後2年間世界を転戦したけど、勝ったのはあの日本GP一回だけだったな。

引退して、上野でバイクショップを経営しているんだ。
紗耶と二人で。

紗菜も引越しして、家に来ないか?」


「紗菜!一緒に暮らそう!」

紗耶は紗菜にお願いするように尋ねた。

「行ってもいいの?」

紗菜はバイクショップ兼両親の自宅がある、上野に引越し、ショップを手伝いながら大学に通う事にした。


2004年大学4年になった紗菜は、就職活動に専念している。