その後、紗耶は今までの思いが一気にあふれだし涙がとまらない。

紗耶が落ち着く迄には時間が必要だった。

落ち着いた紗耶は、裕也に今まであった出来事を、声が枯れるまで休むヒマもなく話し始めた。

「頑張ったね紗耶!
僕もイタリアで産まれたばかりの風を感じてきたよ!
4日後の日本GPも必ず勝つ!!
俺と紗耶と産まれて来る赤ちゃんのために!
3人分の風をお土産に持って帰る!
テレビの生中継があるらしいから、見ていてくれ。」

「もちろん見る!いつ鈴鹿にいくの?」

「明後日に出発する!
でも明日は休日だから、ずっと一緒だ。」

「じゃあ赤ちゃんの服買うの手伝って!
あと原宿でクレープ食べて、赤ちゃんに聴かせるレコードと本を買うの!」

「まだ本は早いだろう!」

二人は笑い転げ、幸せな平和な時間が過ぎてゆく。