アレキサンドラは言いごもった。

 その隙を見てサフィール王子は彼女の唇を奪った。

 傲慢なほどやさしく。

 ところが……

 無反応の彼女に彼はその身体を離した。

 目すら開いたままの彼女に、バツが悪そうに、

「さ、さむかったのだ……」

 うなだれて、そう言い訳をした。

 一人で盛り上がって男の名で呼んでおきながら、その温もりを求め、都合よくオンナとしての彼女を欲しいと願い、あられもないことをして、期待してしまったのだ彼は。

 だが! しかし! 彼女は大蛇のことしか考えていなかった。
「それです! 王子」