それを看てとったアレキサンドラは、わざと厳しく言った。


「王子をさしおいて、彼は何をお考えなのか」


 王子は弾かれるように顔をあげた。


「あれを責めないでやってくれ。父王が信頼を寄せるただ一人の共同執政者なのだ。至らないのは私自身なのだから」


 ふう、とアレキサンドラはため息一つ。


「それだけの気概があれば大丈夫でしょう。それではまず噂の正体を暴くのです」
「わ、わたしが、か?」
 

 アレキサンドラはにこっとして、


「そうですよ」
 と、当然のように言った。