要するに一時、王に飽きられるまでの仮の妻である。

 お役ご免とあらば金銀財宝を与えられ、一生安楽な暮らしが約束される。

 だが、王の妻となった身で他の男を通わせるわけにはゆかない。

 生涯、監視付きで暮らすのだ。


「お母さん、ボクが王宮で気に入られれば、この冬も暖かく過ごせるんだね。ボク頑張るよ。そして寝床を暖める薪を届けるよ」


 今は王国全土で荷物の届かないところはない。

 王が善政をしいてきた証拠だ。

 しかし、その王は……だれが聞いてみても行方がようとして知れない。