夏の夜空には凶星が異様に輝いていた。一連の事変をこの星が知らせていると、星見をする者は口に出せず、ただ悲しんだ。口外すればまた迫害に合うからである。

 だが、王のいなくなったわけを知るものはまだなかった。

 そして冬がくればどこも家中が氷のように冷たくなる。

 そんな日に、アレキサンドラの王宮入りが決まった。人口の半分は嘆いた。

 彼女が最後まで異性の誘惑を退けたからである。

 本人は木訥として、なんのことかさっぱりわからない様子だったが、精進潔斎した後、王に破瓜される運命とは、言わば公然の秘密である。