これだけは誰にも言うな、宰相が悪巧みして王をしいしたものとの噂が流れ始めている……ルイが声を低めて言った。


「誰がそんなことを!」


「そこはかとなく、誰もが無責任にぽろぽろとな。便乗派が誰かのせいにしたがるんだ。理由はどうあれ、大変なことが起こってる」


 ルイは目を瞑って腕組みをした。


 リッキーは初めて耳にした情報に、取捨選択がかなわずに興奮した。

 そして、怒りにまかせて石を積み上げた城下の門に借し馬を乗り付けた。