……王が消えたらしい。
それはこの王国にとって神の死を連想させた。
道中、ルイは市場や古道具屋辺りの狭まった道を通ったが、活気がなく、人々は口を開けば神の御名をつぶやいたり、目を伏せる者もあれば恐怖に見舞われ、パニック寸前といった者までいたそうな。
まるでこの世の終わりなのかと言うほどみんな目ばかりぎょろぎょろさせて、おびえながら暮らしている。
猜疑と警戒心と不審と不安と疑心暗鬼とで城下は沈んでいた。
まさしく王の不在は神の不在だ。
『オレは毎日行くんだが。人々は教会へ押し寄せ、噂の真偽を確かめようとするが、門は閉ざされたきり、一切の訪問者を受け付けん』