「そんなことが言いたかったのか? ルイ、そんなことを聞かせるつもりだったのか?」


 木々が騒ぐ。

 上空の風が強くなってきたようだ。
「まだ、まっさらなおまえの耳には聞こえていないらしいな」

 まっさらも何も、何事も誠心誠意。根も葉もない事をわざわざ言いつけに来る関係者は周囲にいない。

 だがルイは言った。ただ、リッキーのためだけに。
 そして、


「オレはおまえをなくしたのか……? なあ、リッキー……」


 遠くを見つめ、ぽつりと言った。

 彼はしばらく、そこから動かなかった。