「ルイ」
「よかった」


 男は彼女が脚の太い貸し馬を木に繋ぐのを見ながら、おもむろに言った。


「覚えていたんだな……おまえが変わっちまったのかと、心配していた……その後、どうなんだ?」


「何もない。勝手に足が向いただけだ。その後ってなんだ? どうって?」


「てっきり、もうすっかり忘れられたかと思った」


「そんなこと、あるもんか」


 前なら飛びかかっているところだが、最近あまりそういうスキンシップもうざったい。


「困ったことになっていないか、心配していただけさ」