たっぷりと布地を使い、ドレープのきいた華やかな幾重ものフレアスカートのドレスが花びらのように大胆に広がる。

 脚を見せないのがたしなみだが、広場にはときに優しい風も吹く。

 乙女らの細く、真白な足首でも見えはしないかと、男性がどっとよせ、値踏みする。

 リッキーは王であるそのひとに祝福のキスを頬に受け、感動した。

 ひとのぬくもりがこんなにも温かかったなんて……思わず知らず、涙が溢れてきて、彼女はしきりと瞬いた。

 王の隣で王位継承権トップの王子がそれを不思議そうに見つめていた……

 そんな、春の祭りの一日は本当に短いものだった。