アレキサンドラ、彼女(リツキー)は思った。

 たかが十六歳になるというだけで、ごてごて着飾らなくてはならないとは、因果なことだ。

 軽量化されたしっかりとしたパニエに重ねられたスカート。

 祭りのような時でもなければだれも着まい。

 そして自分より数ヶ月あとに産まれたというだけで、花乙女になれないと嘆く少女らは、なんと幸せな事だろう……と。

 実際、彼女はハーヴティーなど飲んだことはなく、ただうがいに使っていただけだ。

 のどがすうっとして気持ちが良いので。

 母には飲んだと言ってあるので、ここでも飲んでいた事にする。

『美容とリラックスを』ウリにしているエステティックサロンなので体面というものがある。