見知った方や王子は別ですけど、と付け加える。


 咳払いをして「人は変わるものです」と……こぽ、とお茶を暖めておいたティーカップに注ぐ。


 王子は急に注意深くなって言った。


「では、以前の君は木々を猿のように昇ったり、自分のことは自分でカタをつける質だったというわけか。で、私のことは?」


 怖かったのか? との問いに少し考えてリッキーは口を開いた。ここで怖くも何ともない、と言ったら台無しだ。


「ええ、何しろ一国の王子様ですからね」
「で、今は私のことは何とも思わないというわけだな」