「いや……学校へは普通に勉強のために通っていたから。毎日家庭教師と顔つき合わせるのにも飽きて、ふと何かが足りないと」


 王子は背後を見返って彼女を見た。彼の前髪がさらりと揺れて、額に青い鱗状の痕が現れた。竜殺しの烙印……。


「うん、でも、過去のことだ。今は……リック、君には親友はいるか? まだいないのか」


 アレキサンドラはとまどった。


「そうとも限りませんが。いきなりですね」


「親友とは常に一人につき一人ずつと決まっているのか?」


 少女は無言で返した。意図不明のため。


 王子はのたまう。