金色の頭一二三、みんな見慣れた頭だ四五六、それに一番見知った黒髪一つ。
「ルイ! おまえまでなんだ!」
「い、いや。おまえが十六になるってんでどんなもんかと思って。それにオレ達のぞきには来たけど雨戸の隙間からも見てない」
言い募る真っ赤な顔に、呆れたリッキーが、白粉(おしろい)を丸みがかった瓶ごとその頭にぶちまけた。
中と外とで笑いが起こる。
「マリア。リッキーったらお化粧まだなのに」
「彼女なら必要ないでしょ。紅一つで」
「決めた。私、お金を貯めてリリアのお店に行ってやるわ。あのリッキーをこんなにしたお母様のお店だもの!」