それはそれで、割り切り方が寂しい。


「そういえば、おまえへの預かりものだ。受け取りにサインよろしくな」


「もう、有名人はつらいなあ」


「おまえは有名になりすぎた」


「良い意味で?」


 横へ首を振る、かと思ったら今度は縦に。

 先の件で一気に注目を浴び、遠ざかるリッキーの存在が、今後ますます大きくなって行くだろう、ルイにはそんな予感がした。


「善かれ悪しかれ、今やおまえは貴重品みたいに扱われてる。極上の『華』として」


「なんだろう、これ」
 アレキサンドラはわざとルイの言葉を無視した。